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「少しおふざけがすぎました。ごめんなさい」
「解ったなら、いい」
見えるはずないのに、笑った顔が温かくて、まぶしいと感じる。
「わざわざ夜更けに抜け出してきたんだ、何か、話があるんじゃないか」
「そうですね……でも、やめました。どうやら透夜は、わたしをあまり長居させたくないようですし、ちょっと眠れなかっただけですから」
透夜の腕をすり抜けて、振り返る。
ぬくもりを失い、じかにあたる夜気が、肌を凍らせてしまいそうだった。
けれど、名残惜しさを感じては駄目。今夜はもう、お別れのご挨拶を。
「また明日来ることにしますね。おやすみなさい」
「……瑶佳」
背を向けるより先に、名を呼ばれた。
ふいに伸びてきた手が頬を包み込む。と思ったら、額にやわらかく、熱い感触を落とされる。
それは、ほんの一瞬だけのおまじない。
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