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「よい夢をみられるように。……おやすみ」
こんなとき、笑ってくれたら冗談ですまされたかもしれないのに。からかう素振りなんて微塵も見せないから、余計いたたまれなくなった。
うなずいて、顔を伏せたまま、足早に歩み出す。
冷たい夜の風なんて気にならないくらい、頬が火照っている。頭が甘くとろけたまま眠りにつけなくなる瑶佳のことを、きっと彼こそが知らない。
「……ありがとう、透夜。そばに、いてくれて」
閉ざされた闇の中に在っても、これほど清々しい気持ちになれるだなんて。
――あなたのおかげで、迷いは晴れた。
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