3人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
「そちらでしたか。これはその、えっと……っわ!」
曖昧な笑みを浮かべて後ずさったとき、膝に痛みを感じる。先ほど負った傷だと、すぐに思い当たった。
しかし、突如襲った浮遊感の正体がわからない。一向に落下する様子がないのだから。
もうひとつわからないのは、重力に逆らって身体を支えるモノの感触に、既視感を覚えたこと。
それは、人間でいう〝腕〟と、酷似していた。
茫然自失に陥った少女は、借りてきた猫のように、じっとせざるを得なかった。
最初のコメントを投稿しよう!