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 どれくらい歩いたのか、やがて、心地よいせせらぎが鼓膜をくすぐる。  そっと抱き下ろされ、自然とついた手の平に、丸みをおびた小石の感触。 「……診せてみろ」  トウテツは、驚くほど器用に着物の裾をたくし上げた。力任せに引きちぎったり、鋭い爪で裂いたりする様子は、まったくない。  膝に冷たい水をかけられ、顔をしかめる。が、痛んだのはたったの一度きり。  なでるように傷口を清めてくれるおかげで、苦痛はなかった。  ――トウテツって、指も人間と似てるんだなぁ。毛深くないどころか、すべすべしている。それにひんやりしていて、気持ちいい。 「子供が、夜半に何用だ」 「え、夜っ?」  耳を澄ませば、なるほど、昼はうららかな陽気も冴えた夜気に変わり、梟の声が聞こえる。
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