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「今日はもう帰ります。それで、帰ったらみんなに伝えます。トウテツはとっても親切な妖魔だよって。怖くなんかないよって。だから」
「無駄だ。長い年月を経て凝り固まった概念は、容易にはとけまい」
「でも、真実を理解しないのは、間違っています!」
さらに言い募ろうとした口を、〝指〟で制される。
「おまえ、名は」
その答えだけしか言わせないかのように、〝指〟は動かない。
「……瑶佳、です」
「〝瑶佳〟」
名前を呼ばれた刹那、背筋が戦慄する。
なぜだろう、手足がぴくりとも動かせない。
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