唯一の発明

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唯一の発明

 新しい技術とは天才によって生まれるのではなく、この世に打ち勝とうとする者によって生まれる。それは、全ての生命に可能なことだ。努力などと言う言葉で括れるものではない。それを求めること、そのものが生なのだ。  そして、大事なことは、他者によって、自身の望む物は創られないという、思考。確かに同一で、まるで自身が想い描いたものが、この世に顕現したかのようなデジャブを感じることはある。だが、それは己の野望が求めるものではない。  例えば、何故、電話という装置で通話できるか? 何故、インターネットは繋がるのか? などという思考だ。知識はなくとも使用することは可能だが、それを自ら編み出すこともせず、あたかも自分の想像のように考えるのは、洗脳を受けた状態だ。  決して悪いことではないが、電話なら、自分らしく電話を発明し、新たな道筋を探り当てるべきであり、インターネットも自分自身の想像によって創り出すべきである。  道は一つとは限らず、新たな道筋から導き出される答えこそが、己が目的を果たす最短ルートとなるかもしれない。  そうした遠回りの重要性は、信じず、疑い、罵倒することによって、固定観念という幻想を打ち破ることにある。そうでなければ、そこでその類の思考が停止し、あらゆるものを受け入れてしまうほどにまでなると、死が待っている。  だだ、己の目的を果たしたと断言する者が現れたなら、快く天に還るのを見送るべきでもある。
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