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私は一度家を出てレンタカーを借り、アパート前に車を付けると彼くんを助手席に乗せて走り出す。
免許は今日のために取ったばっかりだからまだ若葉マークだけれどこれでも教習所の先生にはすっごく褒められたし試験も一発合格だったんだよ? 凄いでしょ♪
ふふふ、いいとこ見せちゃうんだから。
彼くんにはいつも運転して貰ってばっかりだったからね。今日は私にぜーんぶ任せておいて♪
初めてのデートのときはまだ私は免許を取るなんて考えたこともなくって、助手席で彼くんの顔をみつめながらドキドキしてるだけだったなあ。
カーステにBluetoothでスマホを繋いで彼くんのイチオシアイドルユニットのアルバムを流す。
彼くんはセンターの子よりサブだけど古参のあの子が好きなんだよねえ。派手さはないけどいろんな曲でソロパートあったりして存在感があるっていうか。
ETCで高速道路に乗るとそのまま一路東へ車を走らせる。今日はとっても良い天気♪ 少し窓を開けると、暖かい陽射しと山間の冷たさが交じり合った春の山に独特の空気が流れ込んでくる。
私の好きな匂い。例えるなら青春の匂いだ。
楽しい思い出も、綺麗な思い出も、ドキドキの思い出も、全部この匂いから始まってるんだから。
そう、全部彼くんがくれた思い出だよ♪ 懐かしいよねえ。覚えてるかな、次のサービスエリア。ドライブデートにきたからには私の大好きなアレが欠かせないでしょー?
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