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「あっ、武田くん。待ってたんだよー」
「皆、わりぃ。待たせた? 急いで戻ってきたつもりだったんだけど」
屋上での昼飯タイムで『恋の俳句、秋の第一弾』を披露した後、教室に戻ると、秋田に高階、常陸が俺の席の周りに集まっていた。待たせちまったみたいだ。
「お前、おせーよ。昼飯食ったら例の打ち合わせするって言ってただろうが」
「ごめん。約束は覚えてたんだけど、食後のカフェオレ、ちょっとだけのんびり飲んじまってた。ほんとごめん」
腕組みした高階の睨めつける視線に、両手を合わせて拝んで謝る。実は、カフェオレの味をのんびり堪能してたわけじゃないんだけど、それは言い訳にはならない。
俺が披露した『恋の俳句、秋の第一弾』があまりにもお粗末だったせいで、俳句とは何か、について土岐からプチ講義を受ける羽目になって、予定よりも戻りが遅れてしまった。悪いのは俺だ。
「ふん。お前が遅れた五分の間に先に意見を出し合っといたぞ。ノート、見ろよ」
パンっと合わせた両手の向こうの高階は、つっけんどんな口調のわりには怒ってない。腕組みを解いて俺の机の上のノートを指すから、慌ててそれに手を伸ばした。
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