見て見ぬふりをしたくない

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僕以外に幽霊が見える人なんて居るのだろうか。 そんな浮ついた気持ちで講義を受けた事が行けなかったのかもしれない。 「───ッグァ……!」 ギリギリと誰かに首を締められている。 首を掴んでいる手を離そうと藻掻くが、余計に力が強くなる。 苦しい。 奏汰は部屋に入った途端、ガバリと僕に覆いかぶさってきて何が起きたのか分からなかったが、今こうなっている現状から、此奴から守る為だったのだと知る。 「ぐ、ぁ……ッ…」 力が入らず抵抗出来ない。 もう、意識が……… 「おーおー、何かやばい事になってんな。 取り敢えず………悪霊退治と行きますか。」 『俺様の出番のようだにゃ』 朦朧とした意識の中で誰かが話しているのが聞こえる。 宙に浮いてる黒い塊からも声が出ている。 でももうダメだと思った次の瞬間、フッと首の苦しさが消えた。 その代わりにいきなり空気が口の中に入り込み、咳き込んだ。 「ゲホッ、ゲホッ、はぁっ__!」 息の仕方が分からない。 怖い。 頬を伝う滴なんか気にしてられない。 目を閉じて深呼吸しようとしたら、 「ゲホっ、───っあ、んぅッ……!?」 唇に何かが当たる。 驚いて口を薄く開けると何かが入ってくる。 舌と分かったのは随分と後になってからだった。 視界いっぱいに小麦色が映る。 「__ケホッ……」 「大丈夫か?」 「は、はい。ありがとう、ございます……」 小麦色の正体は助けてくれた男性の瞳の色だった。心配そうにこちらを見てくる男性は、僕が息が出来ると分かると、倒れている奏汰の元へ向かって行った。
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