49人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
蓮君は、私が初めて幸せになってほしいと思った人。
好きだから、そばにいたいし、好きだから、笑っていてほしいと思った人。
どちらも本当の気持ちなんだから、仕方がない。
けれど、未来を考えると、両方とも叶えるのは絶対に無理なんだ。
本気で蓮君を思うなら、今の彼がいるべき場所は、私の隣じゃない。
帰ろう。帰ってまず、返事もせずに飛び出したこと謝らないと。
怒って出て行ってしまったりしていないか急に不安になったけど、すぐに、蓮君が、そんなことするはずないって思い直せた。
冷たくて、視界が狭いけれど、私を味方してくれているような雨の威力は、少しずつ弱まっていた。
雨に背中を押されながら、私は家まで帰った。
最初のコメントを投稿しよう!