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妻の苦悩
ずっと続くと。 この日々は、幸せは続くものだと思っていた。
妻のことは大切だ。 何にも変えられない存在だと思っている。 だからこそ、この大変なご時世で会社で辛酸を嘗める思いをしても、今まで頑張ってこられた。
妻は、訳ありで実家を飛び出して一人暮らしをしていた。 妻の両親はだいぶ昔に離婚、妻は実母と大喧嘩をして家を出たらしい。
そんな状態の妻は、自分の実家に転がり込むように同居の形態をとることになった。 結婚式には妻の側の参列者は一人もいなかった。
しかし、妻は同居に馴染まなかった。 馴染もうとしていたのは分かっている、しかし自分の両親も妻とはなぜか一線を引いていた。 妻の親族と顔すら合わせていないからか、昔気質の高齢者がとても気にかける『嫁の実家』という厄介なものが妻にはない。 それ故なのか、どこか見下したところがあったのかもしれない。
いや、お互いが打ち解けて信頼関係を築くことが出来ていれば、きっとそういう些細なことは気にならなくなっていったのだろうけれど。 妻は案外細かいことに拘るタイプで、両親はデリカシーがない部分があった。
一言であらわすなら、お互いに『あわなかった』のだ。
妻と両親の不仲は、子供が生まれたことにより益々顕著になっていった。
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