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とんでもない計画
「この家をリフォームする」
父と母が相談もなく決定事項として自分に告げてきた。 理由を聞けば、妹がこの家に戻るとのことだ。
妹は自分より早く結婚してこの家を出ていた。 子供一人を授かり、隣りの市に住んでいた。
子供、自分からすれば甥っ子は全寮制の高校に入った。 そして、妹の旦那の父親が亡くなり、母親が一人きりとなってしまい。 母親は妹と旦那のマイホームに居座るようになった。
離婚までとはいかなくても、距離を置きたいらしい。 幸いにも子供は全寮制だ。 ゆえに、実家にその身を置かせて欲しい、と逃げ込んできたのだ。
両親からすれば、天の助けだろう。 なぜなら、今までどうしても『憎き嫁』に言えなかった「出ていけ」を発動出来る。
今までは、両親だけでは子供達の面倒がみられなかったのだ。 だからこそ、『お母さん』役として妻を住まわせていた。
しかし、妹がその役を担ってくれるのならば、両親からすれば嫁に価値はない。 幸いにも子供達は叔母である妹にそこそこ懐いているし、妹は保育士でもあった。 さらに両親にとっては、憎き嫁に老後をみてもらうより、自分の娘にみてもらうほうが余程にいいのだろう。
「あんた、自分の妹が困ってるというのにほっとくの?」
……いや、妻は……?
妻は即答した。
「私は出ていきます」
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