140人が本棚に入れています
本棚に追加
聞こえるのは、熱を持った吐息と喘ぎ。
それから、皮膚と皮膚がぶつかる鈍く力強い音。
「あぁ……かーくん……かーくんっ」
「慎吾っ」
あとは、互いを求めて呼ぶ声だけ。
重厚な風合いの木材を使った学習用の平机と本棚、家具が数点あるだけのシンプルな恋人の部屋は、静かで少し堅苦しい雰囲気が漂う。
「あっ、あぁ……っ」
「ここ、もっと抉る? 欲しいか?」
「んはっ……ぁ、うん。もっとっ」
けど、今その部屋に充満してるのは、熱く淫らな、蕩ける甘さ。堅苦しさとは真逆。
素っ気ない無表情をかなぐり捨てた部屋の持ち主は、来訪者の俺を荒々しく揺さぶり続けてる。迸る熱情を俺だけに見せ、ぶつけてる。
「かーくん? 俺、もう……っ、ひゃんっ」
もう限界。そこまで来てる。わかる。
こじ開けられて抉られて、熱い楔を奥で受けとめ始めてから、もうどれだけ経ったのか。ずっと喘ぎっ放しの喉の渇きでも、それはわかる。
「なぁ、もうほんと駄目。すげぇ良くて、頭、真っ白になっちゃ……あっ、あっ、はぁ、んっ」
駄目だよ、もう。イっちゃう。イっちゃうっ。
「ん、俺も。気持ち良い以外、何も考えられないくらいだ。じゃあ、一緒に」
「んっ! んあっ、やっ……ああぁっ!」
性器を扱かれながら、ずくんっと強い突き立てを食らい、恋人の体重を背に受けた体勢で絶頂を迎えた。
あぁ、俺……。
しまった、と思った。
俺も言いたかったんだ。『一緒に』って。一緒にイきたいって言いたかったのに、快感がすごくて言いそびれた。
それから、『しまった』は、もうひとつ。
「……っ……はぁ、っ……うわぁ、ヤっちまった」
荒い呼吸のまにまに、心の中だけで頭を抱える。
ピッカピカに磨き上げられた綺麗な窓ガラス。そこに、俺が弾け飛ばした白く粘つくアレが、淫靡な彩りをバッチリと残しちゃってるんだよぅ。
あはっ……あははははっ……。
最初のコメントを投稿しよう!