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04.オニオン
「それでもトーアさんは優しいですよね?」
「あん? オニオン、頭沸いてんのか?」
「あの人、相当追い込まれてたんでしょ? 毎日毎晩アウトローな取り立てで」
「経験者は語る、だな」
「僕、借金で大学辞めることになったし、親兄弟にも酷い取り立てされましたから。
実際、このホテルでようやくぐっすり眠ることができたんです」
あぁ、そんなこともあったよな。
オニオンは学外サークルで知り合った男から詐欺にかけられた。
犯罪の片棒を担がされ、金銭的にも精神的にも追い込まれていった。
容姿の良さを買われ、変態ジジィ共専門の男娼にされる処だった。
監禁ホテルで『奴隷契約書』にサインをさせられる運命だった。
だが、このホテルに来たことがオニオンの運命を変えた。
ニーチェさんが、依頼者側に解決金を払ったんだ。
元々いかれたクレイ爺だ。
何を想って気紛れを起こしたのかは知らない。
追い込みかけて、監禁ホテルに泊めるのは、奴等の常套手段だ。
飴と鞭だ。
正常な思考を奪い、良い人だと勘違いさせる為。
当然、二十五万円の価値がある場合だ。
まぁ、その分も把握しきれない借金にたっぷりの利息と共に含まれてるんだろ。
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