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03.Liar
オニオンがお客を部屋へ案内する。
客室は全部で四室。
役員さんがチェックアウトした部屋を割り当てる。
「トーアさん、Liar(嘘つきの間)にINさせましたよ」
「ご苦労さん」
オニオンがお客から没収した携帯端末などを籠に入れ戻って来た。
マスター室でモニターチェックをする。
壁面一杯に広がるモニターは、モザイクアートにも似ている。
地味な色で、ほとんど絵になってないけどな。
各客室には死角がないように多数のカメラが設置されている。
消灯後の異常確認にも備えて、暗視カメラ・赤外線カメラ、
心理的プレッシャー用のダミーカメラまで備えている。
裏社会では、暗闇ホテルと揶揄されているが、電灯がない訳ではない。
窓はないけどな。
上手く宿泊をコントロールしている。
四室のうちAnubis(罪天秤の間)は、何十年も連泊している老人――ニーチェさん――が居る。
もう三十億円以上払い続けているんだ。
総資産額が幾らあって、なんでここに連泊してるのかは本人しか知らないだろ。
だから、残り三部屋を回しているんだ。
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