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「そうた、生まれてくれてありがとう」
すぐ傍で聞こえてくるその言葉をそうたは知らない。
でも、その声はそうたを安心させた。
なんて落ち着く場所なんだろう。なんて居心地のいい場所なんだろう。
「そうた。これからよろしくね」
大きくて温かい手がそうたを優しく包み込んでくる。
そうたは眠った。
安らかに眠った。
大きくて優しくて温かい母の腕の中で。
母親の手にはそうたの手が重ねられている。
まだまだ小さなその手は、確かな力で母親の指をしっかりと握っていた。
──────END──────
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