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途轍もない不安がソウタを襲った。
こわい。
初めて感じた感覚だった。
こわい。
何もかもがそうたを不安に陥れていった。
そうたは泣き叫んだ。
どうしたらいいのか分からなかった。
そうたは叫んだ。
必死に叫んだ。
──────そうた──────
声がした。
──────そうた──────
聞こえる。確かに聞こえる。
多くの音の中から、その声だけがはっきりとそうたの耳へと運び込まれてくる。
知ってる。
その声に覚えがあった。
優しいその声。
温かくて穏やかで安らぎに満ちた声。
ずっと前からその声は聞こえていた。
そうた。そうた。
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