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暗い場所
いつからここにいるのかは分からない。
気がつくとそうたはそこにいた。
真っ暗なこの場所に。
身動きはできない。とても狭い場所だった。
手足を目いっぱいに伸ばそうとすると必ず壁に当たる。どれだけ力をかけてもその壁は破れない。
絶えず聞こえるのはさざ波のような何かが流れる音。この音が何なのかそうたは知らない。
ただ不思議とこの場所は居心地がいい。
でも、そろそろここから出ないといけない。それはそうたにも分かっている。
時が来たのだ。
壁は慌ただしく動いている。蠕動するように収縮を繰り返し、そうたを少しずつゆっくりと運んでいく。
どこに運ばれていくのだろう。どこへ行くのかも分からない。
これから自分の身に何が起こるのか。一体、何が始まるのか。
大きな緊張と不安を抱えながら、そうたはいつまで続くのか分からないこの圧迫感に耐えながら待ち続ける。
そして、それは突然やってきた。
そうたの体は壁の間を一気に滑っていった。何か強い力にそうたは引かれていった。
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