トンネルで会いましょう

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 私は正直戸惑いました。  富田林は今まで冗談ばかり言っては気持ちをはぐらかしてきたのです。そんな彼からの突然のプロポーズ。戸惑うなという方が無理というものでした。  けれども私の心は彼が箱を取り出した時からすでに決まっていたのかもしれません。胸の内側から溢れる抑えきれない喜びが、それを証明していました。 「……はい」  私は心のままに、涙と笑みを浮かべて箱を受け取りました。  そして震える手で箱を開けました。  ところが。  次の瞬間、中に入っていたものを見て、私は驚愕してしまいました。  そこにあったのは輝くリング──ではなく、ただの手紙でした。しかもそこにはたった一言、こんな言葉が書かれていたのです。
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