トンネルで会いましょう

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 私は当時、K大の心霊現象研究サークルに所属する一年の女子でした。  名前は仮に浅野トモコとしておきます。  小さい頃からオカルト好きで、ホラー漫画もホラー映画も大好きで、遊園地のお化け屋敷には友達と来ていても一人で挑戦するほどの心霊好きでした。  やがて、それらだけでは物足りなくなってきた私は、大学でとある有名な心霊現象研究サークルに入ることにしました。  このサークルでは、実際に霊が出るという心霊スポットにみんな出かけ、恐怖体験を味わってみるというアクティブでワクワクする活動をしていたのです。  その日のターゲットは、群馬県と長野県の境にある碓氷峠(うすいとうげ)に存在する、小さな細長いトンネルでした。トンネルの名前はあるのかどうか分かりません。地図上で見ると、全体は少しS字を描くカーブになっています。そのため、両端の出口からは全く光が届かない闇の空間が途中に存在するのでした。  昼間でも真っ暗なそのトンネルを灯をつけずに歩いて通り抜けることができたら、恐ろしい怪に出会うことができる──。  部長の長澤先輩がそんな噂を聞きつけて、週末に集まれる人を募り、トンネル探索が行われることになりました。  私ももちろん参加の意を表明して、喜び勇んで行きました。  まさか、あんなに恐ろしい目にあうなんて夢にも思わずに──。
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