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「全部で五人か。意外と集まらなかったな」
「しょうがないわよ、急だったもの」
トンネルの前にやってきたのは、K大三年、部長でイケメンの長澤先輩と、その彼女だという噂のクールビューティー白石先輩、心霊写真好きでちょっとぽっちゃりした二年の村西先輩と、サークル1の霊感の持ち主でメガネっ子な一年の佐々木さん、それに私というメンバーでした。
村西さんは自慢のカメラを首から下げていました。そのカメラから数々の心霊写真を撮影してきたんだと嬉しそうに語りますが、長澤先輩はそんな彼に厳重注意の目を向けました。
「持ってきてもいいけど、真っ暗のまま通らなくちゃいけないんだからな。絶対フラッシュとか焚くなよ」
「えー。ダメ?」
「霊を怒らせたら取り憑かれるかもしれないぞ」
長澤先輩はどこまで本気なのか分からない顔をしていました。
「馬鹿みたい。子供っぽいんだから」
白石先輩はクールに口の端をつりあげます。霊には興味がないと言っている彼女が毎回活動に参加するのは、ややチャラいところのある長澤先輩の浮気を見張るためではないかと私は密かに睨んでいました。
「ここ、なんかやばい気がする。やめた方がいいんじゃないかな……」
怖気づいた声を出したのは佐々木さんでした。
これはいつもの演出で、誰かがビビっていた方が本物っぽくて盛り上がるんだと飲み会で長澤先輩が暴露していましたけれど、本当なのでしょうか。
不意に、青白い顔をした佐々木さんと目が合いました。
「気をつけてね、トモコちゃん」
なんで名指しされたんだろう。私はその時少し不吉な予感がしたのです。
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