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白石先輩がからかうように私を見ました。
「富田林くん、あんまり調子のいいこと言うと彼女が怒るわよ?」
私は左右をキョロキョロしてしまいましたが、先輩の言う彼女らしき人はいません。すると富田林という人が漫画のような顔を赤くしながら言いました。
「彼女じゃなくて、こいつはただの幼なじみですって! なあ、トモコ」
トモコって、私のことですかーーーっ!?
私はびっくりして全力で首を振りました。
「ご、誤解です! 私、こんな人知りませんし! 幼なじみでもありませんし!!」
「ほら、カンカンじゃない」
「罪な男だなー富田林」
「早く告白して付き合っちゃいなよ」
サークルのみんなの和気藹々とした声がトンネルの中まで響きます。
「冗談じゃありませんよ!! 何バカなこと言ってるんですか!!」
「ほらね。こいつ、こういう奴なんですよ。からかうとすぐムキになっちゃうんです」
私の何を知ってるんだよ富田林!!!
お前に言われたくないわ富田林!!!
「じゃあそろそろ車まで戻りますか」
村西先輩がカメラを残念そうにいじりながら言いました。
「あーあ。結局何も起こらなかったなー」
いやいや、すごいこと起きてますって!!
知らない人が一人増えてますってーーー!!!
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