38人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
富田林のお節介のせいで、私たちは家からかなり手前で車から降ろされ、恐怖の二人きりの時間になりました。
「あんた、何者なの?」
「何者って、どうしてそんなこと聞くの? 僕はトモコの幼なじみじゃないか」
「知らないんだけど!」
「どうしたんだよトモコ。何怒ってるの?」
「怒ってない。っていうか、あんたがこわいの!」
私はダッシュで家まで逃げました。けれども富田林は後ろから「待てよーっ」と手を振りながら追ってきます。
こわいこわいこわいこわい、こわいよーーーっ!
「助けてお母さん!」
家に飛び込んで助けを呼ぶと、母がびっくりして飛び出してきました。
「どうしたのトモコ」
「し、知らない男が、私の幼なじみだって言い張ってて──」
「こんにちは、トモコのお母さん」
「あら光くん、こんにちは」
光くん!?
振り向くと、私の後ろに富田林がいました。
「だから誰!?」
「何言ってるのよトモコ、幼なじみの富田林光くんじゃないの」
母までもがにこやかに富田林を迎え入れ、「久しぶりに夕飯食べてく?」などと言うのです。休日で家にいた私の父も、祖父も祖母もみんな富田林のことを不思議にも思わず受け入れます。
「お母さんは相変わらず若くてお綺麗ですね」
「もう、光くんったらお上手なんだから。光くんみたいないい子が幼なじみでトモコは幸せね」
「光くんとトモコは……その……付き合ったりはしていないのか? 光くんならお父さんはオッケーだぞ」
「やだお父さん、そういうことは本人同士に任せましょうよ。おほほほ」
富田林は崩れた鼻の下をだらんと伸ばして照れているようでした。
「まあ……僕の方はトモコさんさえ良ければ……なんて思ってますけどね。ははは」
よくねーーーーよ!!! アホかあああああああ!!!!
最初のコメントを投稿しよう!