第三章 創られた世界

3/5
前へ
/13ページ
次へ
「貴方をこの海に呼んで、沈め殺し、二度とこの世界に転生しないよう封印する為よ。悪いけど、貴方には消えてもらうわ。いいえ、『スイ』。オマエハキエテホロビルウンメイナノヨ」  何か来ると感じとったスイは身構える。直後、周囲に竜巻が発生しリアと母の姿である二人を取り囲んだ。 「くっ・・・・・・・・・・・!」  目を閉じ再び開くと竜巻は収まり、そこにいたのはあの二人の姿ではなかった。 暗闇のように黒く大きな翼を持ち、頭部にはそれぞれ左右に一本ずつ、血のように紅い角を生やした双子の悪魔の姿だった。 「そんな、そんなはずない!どうして・・・嘘だ、嘘だ‼!」  スイは目の前にある現実を受け入れられずにいた。それは好きな友達でも大切な母でもなく、双子の『悪魔』だったのだ。絶望どころでは済まなかった。 「俺は今まで何と過ごしてきたのだ・・・お前達は何が目的で命だけでなく、未来も奪うのだ!許せない、許せないぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 『ワタシタチハ、『ゼロ』ト『レイ』。コノセカイヲワタサレタアクマトヨバレルソンザイ。オマエハゼンセデ、カミニヒトシイヒトヲコロシタ、ソレハオマエノチチオヤダッタノダ』 悪魔たちがスイに向けて手を伸ばす。 喉を占めて窒息させ殺すつもりなのだろう。 スイはスルリと回避し、近くにあった木の枝を手にすると悪魔達に向けて構えた。 悪魔たちも再びスイに向けて構える。 「お前たちが双子の悪魔であることはわかった。母も友達のリアもすでにこの世にはいないこともわかった。だが、一つ理解出来ないものがある。それはこの俺、スイという名の人間が滅びるだと?消えるだと?笑わせるな!俺はこの人生で幸せになるんだ、その為に生まれてきたんだ!今からお前達を殺す!死んでもなぁぁぁ!!!!!」 掛け声と同時に左の双子に棒を振り下ろす。二人同時に殺すには人数的にこちらが不利なので一人ずつ殺すという作戦だ。 「やあぁっ!」 全力で振り下ろす。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加