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リアが家に着いた頃、辺りは暗みに包まれていた。
「ただいま~」
「リアかい?遅かったねぇ」
彼女は早くに両親を不慮の事故で亡くし、現在は叔母と二人暮らしである。
「おばあちゃん、きょうはわたしスイのいえにあそびにいってたの」
「スイ?ああ、この間出来たお友達の事だね?そうかいそうかい、それは楽しかっただろう」
「うん!」
祖母と話しているとリアのお腹から、ぐぅ~っと音が出た。リアは顔を赤らめて笑う。
「こんなに遅くまで遊んだからお腹が空いたんだね、さぁこっちへ来なさい。今準備するからね」
「うん!」
祖母から言われリアはテーブル席に座った。すると香ばしい香りが漂ってきた。
「今日は羊肉のソテーだよ、沢山お食べ」
「わぁ!とってもおいしそうね。いただきます」
リアは羊のソテーを一口頬張った。口の中に広がる肉汁、あの香ばしい香り、噛めば噛むほど増す旨味・・・こんなに美味しい料理は本当に久しぶりだった。思わず涙が零れそうになる。
「美味しいかい?」
と祖母が聞いてきた。きっと私が泣いていることがわかっているのだ。
「ええ、とってもおいしいわ!ありがとう、おばあちゃん」
笑顔で祖母に答えた。
「いつか、スイにもたべさせてあげたいわ・・・」
小さくそう呟いた。
食事を終え、身体も洗い終わり、寝る前になった時、リアは今日あった出来事を思い返していた。
スイが泣きついてきた事、そして、悪魔にとり憑かれたような形相で・・・・・・・・・・
「ハッ、わたしはなにをおもってあんなにこころをうごかされたんだろう?あくまがうつくしいだなんて・・・」
リアは自分が間違った考え方をしてしまったことに、後悔していた。同時にスイに恋心を抱いていた。
「スイ、あなたはわたしのモノよ」
ふいに微笑む。その表情は、まるで悪魔にとり憑かれているかのようだった。
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