第三章 創られた世界

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第三章 創られた世界

この世界は、二人の悪魔が創っているという。 なぜなら、既に人生を終え、罪を犯した者たちが集められ、業を受ける、そういう風に最初から造られているからだ。 今までに登場している『スイ』もその内に含まれている一人である。彼の人生は既に幕を閉じており、これからは、ただ単にこの世界で朽ちて滅びるという運命である。  それでは、この物語の結末を読者である『貴方』に、ご覧頂いてもらいましょう。  それでは、ご覧頂下さい。この悲劇の結末を! あれから三年後、スイは変わらない日々を送っていた。 村人から『水を汲んできてくれ』という頼みで、村の近くにある大きな湖に来ていた。 「よし、こんなもんかな。結構重たいけど、頑張って運ぶか。はぁ~、面倒くさいな」 独り言をぶつぶつと呟きながら村へと帰っていると・・・ 『ダイジョウブ?タスケテアゲマショウカ?』 何処かから『声』がした。 「だ、誰かいるのか⁉」 辺りを見回すが、人らしき姿はない。『声』は再び優しく囁いた。 『ソウコワガラナイデ。ワタシハ、アナタノミカタデス。シンジテクダサイ』 「姿を見せてくれ。そうすればお前を信じよう、約束する」 『ナラバ、ニシニアルカイガンニキテクダサイ。ワタシノスガタヲオミセシマショウ』 そう言うとその『声』は聞こえなくなり、辺りには静かな風がゆっくりと流れていた。 「あれは何だったんだ?俺は夢を見ていたのか?」  スイは混乱していたがそれを振り払い、村へ戻った。明日、西にある海岸へ行き、確かめる事にした。
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