朝日のあたるソファーで

1/2
前へ
/2ページ
次へ
「そろそろ起きろ~? ご飯にするぞ~」 お気に入りのタオル。ふかふかのクッション。 まだ寝てたいよぅ。 にいにが窓を開ける。 気持ちのいい風が、ちょうどいい量で入ってきた。 「モナカ、起きよっか」 傍で寝ていたにいにが、私を抱き上げてソファーからおりる。 イケメンだな~どっちのにいにも。 「いい天気だし、後で散歩に行こうな」 「久々だから、大きい方のドッグランにしようよ」 「だな!」 大きな窓からお日さまが入ってくる。 いつものように幸せな朝だった。 「ねぇ、いいかげん『にいに』って変じゃない?」 ドッグランでご近所のミラーナとレオンに会った。 彼女はいっつも余計なことを言ってくる。 「あのね? にいに達は妹が欲しくて私を見つけたの。 あなたのご主人がイケメンじゃないからって妬かないでくれる?」 「わ、私のご主人はなの! かっこ悪くなんかないんだからね!」 「ええそうね」 「なにその上から目線! からだは私よりずっと小っちゃいくせに~」 「うん。確かにあんたはキレイ! シュッとしておっきくてゲームの聖獣みたいよね」 「そ、それほどでも、じゃなくてご主人はぁ」 「味わい系でしょ?」 「そう!」 「じゃあね。私あっちの専用エリアだから」 「もう~話終わってないのにぃ」 「よう、モナカ」 「おはよう、レオン」 「きょうもチビだな」 「あんたがおおきすぎるんだよーだ」 なんだかんだ言っても、は大切な犬達(ともだち)だ。 柴犬(わたし)の愛情表現はちょっとワイルドで、悪気は無くても、小さな()達を驚かせてしまうことがある。 だから、ボルゾイのミラーナやハスキーのレオンがいてくれたことはとても幸運だったと思うのだ。 よかった。今日もまだ、いっぱい遊べた。 ねぇにいに。そろそろお家に帰ろう? 私は座り込むと、にいに達を見上げる。 「ん? 疲れたか? そろそろ帰るか」 だっこ。 「ったく~モナカは甘えん坊だなぁ」 下のにいにが微笑んだ。 にいに達はミラーナとレオンのご主人にあいさつをする。 「またね。モナカ」 「また遊ぼうな。モナカ(ねぇ)」 「ありがとう。またね」 私はふたりに心からのあいさつをした。 ねぇ、早く帰ろう?  そしてあのソファーでお昼寝しよう? 川の字になってテレビ見て、明日もいっしょに窓のお日さまにあたろう? 初めて会った時、にいに達はとても小っちゃくて、黄色いお帽子と黄色いカバンを下げてたよね。 あの時は私も赤ちゃんで、にいに達は私の行くところにどこにでもついてきたよね。 はじめはちょっとうるさいなって思ったんだけど、いつのまにか三人一緒が当たり前になっちゃって‥‥‥。 ねぇ、覚えてる? でも私、どんどんになって。 になって。 気がついたら‥‥‥ あと何回いけるかな、公園。あと何回遊べるかな。 私、とても怖くなってきたの。 だからずっと、いいお天気がつづきますように。   お空はいじわるだった。 ねえ、お散歩は? 「ごめんな。今日もだめだわ」 窓の外を見ながら、にいに達がすまなそうに言う。 にいにが悪いわけじゃない。 毎日ほんとにお天気が悪いのだ。 雨はまるで滝だし、カミナリはしょっちゅう落ちるし、 私の大嫌いな掃除機みたいな風が、あっちこっちで吹いてる。 お散歩いきたいな。 でもいいか!  上のにいにも下のにいにも、ずっとお家にいてくれるから。 「どう?」 「あんまり食わないな‥‥‥」 ごめんね。にいに達が心配するから、いっぱい食べようと思ったんだけど。 「無理すんなよ。な? この前みたいに吐くと辛いだろ?」 「きっと、僕達が心配するから元気だよって見せようと思ったんだね」 二人ともわかってくれてたんだ。うれしいな。 早くのぼって、お日さま。お月さまにはわるいけど、早く来て、明日(あした)
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加