ジャパンビレッジ、私の町

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ジャパンビレッジ、私の町

 海が近い山すその町、ジャパンビレッジは、最近新しく作られた町で、フランスの町を真似して作られたと言われている。  青い海が広がる海岸線に、白い建物や赤や黄色、緑の建物が広がっていて、まるでビーズを敷き詰めたかのよう。  ここ最近、ぜんぶ新しく作られた町で、多くの人が移住してきた。  私の母も、すごく安く店を開業できたので、ここでお花の店を開くんだって、意気込んでいる。  私もこの町が好き。新しい町で、毎日新鮮な風が吹くの。  坂の道の上で、角にある花屋が私の家で、二階に私と母が住んでいる。  狭い小さな家だけれど、白い壁と木の柱が可愛い家よ。  二階は台所がある部屋と私とお母さんの部屋とがあって、木の家具が備え付けられてあって、とても暮らしやすい。  二階の窓からは、いつも海が見える。  毎日、私は母のお店の手伝いをしながら、海が見える町を見て、ため息をついている。  前の住居は東京だったから、こんな贅沢な風景は見られなかったもの。 「ジュリちゃん、今日の花束のお客さんは、滝沢さんだから。来たら、お会計もらうのよ。お母さんに教えてね」 「分かった」  母は毎日、花を活けたり、飾ったりする。   父が死んでから、フラワーデザイナーを学んで、専門家になった。  私はそんな母の仕事を見るのが好きなんだ。  色とりどりの花が花束にまとめられ、リボンをつけられると見違えるような輝きを放つ。   私も、いつか母のような仕事をしたいなと思うけれど、将来のことはぼんやりとしか考えてない。  でも、ほとんどの花の種類は憶えてしまったわ。  花屋に置いてある花はわりと同じ種類が多いから、覚えられるのよね。とても綺麗な花ビラを巻くのがバラ、夢のようなカスミソウ、元気に咲くダリア、大きな花の元気なユリ・・・・  花は綺麗で、どの花も誰かにはやくプレゼントされたいって輝いているように見える。  ううん、きっと思っている。だから、早く、お客さんの手に渡って欲しいな。
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