お母さんの仕事

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お母さんの仕事

「次は、赤のお花」 「チューリップとバラの花、ラナンキュラスがあるけど、どの赤の花?」 「ううーん、じゃあ、ラナンキュラス」 「はい」  母は作りをイメージしながら色を選ぶので、私は指示通り冷蔵庫の中から言われた花を取り出す。  ふと見たら、冷蔵庫の中にしおれたアジサイの花がある。 「お母さん、このお花、しおれちゃった。もう終わり?」 「いいえ。その花なら、生き返るわ」  言われた花を渡すと、母が切り口を切り戻し、新しい水につけ直す。  切り口を切っただけなのに、1,2時間すると、しおれた花が、また首を持ち上げた。 「わあ、ふっかつした」 「お花は、生きているから。こうして切り口を整えてやれば、また蘇るのよ」 「すごいね」 「だから、植物はすごいのよ」  母が教えてくれることは、学校では教えてくれないことだ。  人が手を加えることで、蘇る花もある。  植物って不思議だな。
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