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「⋯⋯やっぱり、祐也じゃなきゃ。他のどんな中堅俳優だって、浅霧 祐也の足元にも及ばない。まだ30歳だっていうのに演技に説得力があるのは、キャリアだけじゃなくて、祐也が持っている天性の輝きなんだから⋯⋯」
夢の中の彼女は、どうやら俺のファンらしい。こうして熱心に応援してもらえるファンのお陰で、俺は長く芸能界にいることができているのも事実だ。
よく見るとこの部屋には、俺のポスターやカレンダーやグッズなどが所狭しと飾られていて、かなり古い物まである。長い間、熱狂的にファンでいてくれたのかもしれない。こんなに貢いでくれて、有り難い限り。
彼女はソファに寝転んだ体勢のまま、テレビを見つめて、ぼそっ、と呟く。
「⋯⋯それなのに、このヒロインの女。最近ちょっと人気になったくらいで、祐也に色目なんか使って、最低。あの報道だって、きっと、この女の売名行為で、祐也はハメられたんだ。⋯⋯可哀想な祐也」
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