どうしてこうなった。

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「あ、あねうえ……」  怒りからかゾネスが声を震わせて悪女を見る。 「なんです?」  悪女は全く悪びれなくゾネスを見る。さすが悪女だなっ。これっぽっちも何も悪いとは思っていない。 「あなたは、そこまで愚かなのですか」 「あら、私の意見のどこが愚かだと?」 「身分を笠に着る発言。卒業してしまえば身分差を盾に可愛らしいウィリティナに対して暴言を吐く。心底見損ないました。公爵家次期当主として異母姉であるあなたを拘束します。衛兵!」  さすが、ゾネス! さぁ衛兵達、この悪女を捕らえてくれ!  ……だが、衛兵達は誰一人として動かない。それに焦れたのか王太子であるサーベル殿下が「衛兵!」と声をかける。やはり王太子殿下には逆らえないのか、やっとこの会場にいる衛兵達が集まり出した。 「メルフィーを捕らえよ」  サーベル殿下の言葉に衛兵達は、顔を見合わせてから1人が代表して声を上げた。 「恐れながら命には従えません。国王陛下より、学園の卒業式の警備にあたり、暴れる者は捕らえても良いが、サーベル殿下が何の証拠もなく誰かを捕縛する事を命じたら、従わなくて良い、というお達しを頂いております」  なんとっ。陛下と有ろうお方が、悪女を捕らえる衛兵達に捕縛するな、と仰った、だと? ううむ。悪女。一体どんな悪賢さで陛下を誑し込んだのだ。さすが悪女だ。 「父上……陛下がそのように仰った、だと?」 「はい。命令書も預かっております。また、殿下が万が一そのような事を仰られた場合は、速やかに殿下や殿下に同調する者達を王城へ連れて参れ、とも」  言いながら代表者が文書をサーベル殿下に見せる。殿下は胡散臭そうな表情だったが段々顔色を変えた。 「ご理解頂き感謝致します。お前たち、丁重に王城へお連れしろ」  こうして俺達は何も悪くないのに王城へ連れられて行った。  そうして国王陛下に謁見するから、と衣服を改めるように指示をされ、服を着替える。男女を別にはされたものの、何故か俺達男は同じ一室にまとめて放り込まれて服を着替えた。俺やゾネス・ゴレットとブルトン。そしてサーベル殿下までも。サーベル殿下は別ではないのか? 王族だぞ? 王太子殿下だぞ?  此処は王城。  使用人達が殿下の顔を知らないとは思えない。それなのに、何故。  サーベル殿下の顔を窺えば、先程までとは違い、何故か顔色が真っ青だった。  あれか。自室で着替えさせてもらえない事にお怒りなのかな。いや、それだと顔が青い意味が分からないな。なんだろう?  そんな事を思いながら、謁見の時まで部屋からも出されず、時間を過ごした。段々とサーベル殿下だけでなく、ゾネスとゴレットも顔色が変わったが、陛下と会う緊張かもしれない、と思えた。俺だって雲の上の存在のような陛下に謁見するのだ。緊張していた。
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