どうしてこうなった。

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 たった1週間で悪女がウィリティナを虐めていた証拠や証人を出せ、とサーベル殿下は命じられたが、たった1週間であんな広い学園内から証拠など……。それこそ悪女が証拠を隠滅しているかもしれない、と言うのに。そう思いながら、サーベル殿下に頑張ってもらうしかなくて、毎日証拠が見つかるように、証人が証言してくれるように祈るしかなかった。そうして再び俺達は招集された。  謁見の間には、学園長である前王弟のネルト様が国王陛下の側にいらっしゃった。成る程、学園長ならば一番信用のおける証人だ。さすがサーベル殿下。素晴らしい証人を連れて来たな。 「では、サーベル。お前の調べを聞かせろ」 「……はい。調べた結果、メルフィー嬢がウィリティナ嬢を虐めていた証拠は有りませんでした。証人も居ません」  そんな馬鹿な! サーベル殿下ともあろう方が何をっ。ああ、やはり1週間では期間が短かったのだ! 「ほう。1週間という短い期間で全てを調べ上げた、と?」 「いえ。正直、誰が見ても判るような証拠は隠滅されている、と判断し、証人のみに絞って話を聞きました」 「それで」 「……先ずはメルフィー嬢と仲の良い友人数名に聞き取り。その後ウィリティナ嬢と仲の良い友人数名に聞き取り。更に第三者からの証言を得ようと、我々と同学年の者を無作為に数人選び、それぞれ証言を頂きました。最後に学園長にも尋ねました」 「それで」 「先ずはメルフィー嬢の友人達からの証言です。メルフィー嬢は3年間の学園生活の中で1度たりとも1人になる事は無かった。と。だから隠れて虐めをする事など出来なかったし、当然堂々と虐めはしていない。ウィリティナ嬢には、男性との距離が近いように思えるから、婚約者でもないのに、そんなに距離を縮めないよう注意をしていた、と」 「ほう」 「次にウィリティナ嬢の友人達の証言ですが。確かにウィリティナ嬢から虐めの相談は受けたが、メルフィー嬢に虐められている、とは聞いていないし、メルフィー嬢から注意は受けていても虐められている姿は見ていない、と」 「成る程な」 「そして、無作為に選出した第三者達の証言もメルフィー嬢がウィリティナ嬢を虐めていた、など見た事も聞いた事もない、と」  なっ。全員が全員口を揃えて否定するなんてっ。口裏合わせでもしたんじゃないのか⁉︎ 「最後に学園長の証言ですが、直接陛下に奏上されたい、と」  あ、そうだ! まだ学園長がいらっしゃった! さぁ、学園長! 悪女の悪事を今こそ陛下にっ。 「叔父上、態々のお越し痛みいる。お手数ををおかけするが証言を宜しくお願いします」 「うむうむ。陛下、ワシの事など気にしないで下さいますか。証言などいくらでも致しましょうぞ」  好々爺とした学園長が、自ら証言をする、とこの場で仰った。学園長、頼みます! 「宜しく頼みます」 「では。恐れながら、メルフィー嬢がウィリティナ嬢とかいう男爵家の娘を虐めた、という話はとんと知りませぬ。公爵家の力で隠せるようなものでも有りませぬ。……サーベル殿下。貴方はご自分の不貞を棚に上げて、良くもまぁあれだけ尽くしていメルフィー嬢を貶められたものだ」  なっ……学園長までっ。あの悪女め、どこまでその手腕で相手を絡めとって自分の悪事を隠しているんだ! 「学園長。ですが」 「おやおや、サーベル殿下。反論をされますか」  呆れたような口調の学園長に、サーベル殿下が俯く。それから学園長は淀みなく言葉を紡いでいく。
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