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神捧村ー人柱の村にようこそー
ミステリーツアー
もし俺がミステリーツアーになんか申し込まなかったら、こんな事にはならなかった。
牢屋の中。
彼女の心が俺の胸で泣いている。
「大毅、人柱になんかなりたくない」
俺は心を抱きしめるしか出来なかった。
明日、心は人柱になり、その後、俺は殺される。
死にたくない。
心と一緒に幸せな未来を歩みたい。
だれか、俺たちを助けてくれー!
ー数日前ー
「心、あさって夜行バスでミステリーツアーに行かないか?」
1週間前、心に告白してOKをもらったばかり。
心はいつも可愛いワンピースを着ていて、髪は茶髪のボブで、目は二重、笑顔が可愛いく、優して、俺にとって最高の彼女だ。
本当は夜行バスじゃなくて、2泊3日の九州旅行とかしたかったけど、通帳を見たら残高7万円。
生活費も必要だから、この金額で普通の旅行に行く事は難しい。
せっかくの大学1年生の夏休み、心と最高の思い出を作りたいと思っているのにお金がない。
そんな悔しい思いをしていた時、郵便受けに『夜行バスで行くミステリーツアー』のチラシが入っていたのだ。
夜行バスのツアーは、高校1年生の時に男友達5人とディズニーランドツアーで利用した事がある。
お世辞にも寝心地が良い座席とは言えないし、眠りに落ちそうになる度にトイレ休憩に起こされてあまり眠れなかった記憶があるけど、ディズニーランドはとにかく楽しかったし、最高の思い出になった。
きっと、心ならミステリーツアーに賛成してくれるよな?
「あさって? 大毅、いくらなんても急すぎない?」
心が目をぱちくりさせながら、俺を見ている。
「俺もそう思ったんだけど、このチラシが昨日ポストに入っていたんだ。8千円ぽっきりでミステリーツアーに参加出来るんだせ?」
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