一、「おっぱいな憂鬱」

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ここ最近、放課後の日課になっている「男子トイレの落書き消し」の為に私はスポンジと自前の洗剤を持ち、人目を忍びながら「うんちボックス」をチェックします。 同じクラスの高島くんが好きで、彼にこの種の落書きを見られたくないからです。 最初、噂として聞いた落書きの内容の中には「おっぱいが伸びる」だとか「怒ると乳首がトンがる」だとか「片方のおっぱいは黒くてカレー味」だとか、人扱いされていない落書きがあるのです。 高島くんは学年内でも頭は良い方でルックスも良いのですが、純朴な心の持ち主で世間知に乏しい「おばか」なので、信じてしまって、私を「そんな女」だと思い込む恐れがあるんです。 もし、そうなったら・・・ 大変です・・・。 それに高島くんは先月に起きた「ドラム缶事件」によって、巨乳の女子に対する不快感が明確になったようなので、ある日、突然、「おい、ブラック乳首!」とか、「ケツよりデカイおっぱいを持つ女」などと呼んできても不思議ではなく、そんな事になれば、私はあまりのショックで自慢のおっぱいが痩せ細りそうです。 そんな恐怖に脅えながら、どうにかしなきゃと思い、ようやく答えに辿り着いた時、私の両手にはスポンジと洗剤が握られていたのです。
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