8人が本棚に入れています
本棚に追加
アヤカは泣いている涼を背中から抱き締めたかった。
しかし、こんな体では気持ち悪がられるだけだ。
涼にもし、「気持ち悪い」の一言でも言われたら、アヤカはもう即死する。
初めての恋は、こんなにもビクビクするものなのか……。
ああ、じじいが憎い!!!
この顔が!!!
「アヤカ! 動悸が激しい! オレゃあ、心臓が悪いんだ。死んじまうじゃ
ねえか!」
「うるせー! じじい、黙ってろ!」
涼が一人でしゃべっている助六を見た。
「助六さん、どうしたんですか?」
「い、いや……。こう、心の中がうるさくてよ」
「ああ、わかります。そういう時ってありますよね」
涼がニコッと笑った。
涙の跡がある。
助六、78才、はキュンとなる。
いや、正確には、助六の顔をしてはいるが、体はアヤカなので、アヤカ、17
才の心がキュンとしたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!