ミスター・グレイ

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真っ赤なお目眼の吸血鬼 野原のウサギもびっくらこいて 走って逃げ出すその赤さ どうしてみんな赤い目なの と 幼い吸血鬼は尋ねます それはね さみしいからに決まってる 森のウサギは答えます 君たち吸血鬼の命って とっても長いはずだよね ながーい時間を過ごすには お家に一人はどうだろう だからね きっと君たちは探すはず 一緒に生きる誰かを探すはず だけどそっくり 森にすむ吸血鬼と 町にすむひとたち 間違えないようにするために 誰かが鍵を配って歩く ボクたち仲間だよって 手渡された真っ赤な鍵は 君たち吸血鬼の仲間の証 ぴょんこぴょんこと 脚を跳ねさせ 森のウサギは喋ります そうなんだ! 幼い吸血鬼は嬉しくて 両目を真っ赤に染め上げた でもでもどうしてその話 ウサギの君が知ってるの ピコピコ耳を跳ねさせて 森のウサギは答えます だってその鍵配ったの このボクなんだもん 仲間だよね、ボクたち 森にはウサギは住み着かない たった一羽で生きる 両目の赤いウサギは喋る
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