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川の字に並べられた布団が3つ。
私は、寝室に使っている和室の電気を消した。
「たっくん。えっちゃん、おいでー。寝るよ」
猫のぬいぐるみを持って、トタトタ走ってやってくる、えっちゃん。
「ねえ、ねえ、今日は宇宙船に乗ろうよ」
「うん、いいわよ。じゃ入って入って」
「やったー」
隣の布団で、一人寝る準備をしていたお兄ちゃんの、たっくん。
「えー、俺、もういいよ。俺、足出ちゃうもん」
「そう言わないで、今日は特別」
「しょうがないなー。じゃ、おれが船長やるよ」
「えー、私が、やる」えっちゃんが慌てて言う。
「じゃ、今日は船長二人ね。さ、入って入って」
布団の中、3人キチキチに入る。
「よし確認作業OK。シートベルトを閉めてください」
「ガチャ、うん。大丈夫」
「それでは出発します」
みんなでカウントダウンをする。
「10、9、8、7、6」
たっくんも、えっちゃんも、私も、
「5、4、3、2、1、0」
そして、お父さんも、小さな私も、みんなで声を合わせる。
「発射!!」
……一緒に飛ぶ!みんな一緒に飛ぶ!
「ゴーーー、ゴーーー、ゴーーー」と言って私は布団が揺らす。
「さー雲の中を飛んでいくよ」
「大気圏突入だー」
激しく揺らす。
「あわわわあわあ」
えっちゃんが、猫のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。
「ほら、俺、足が、足が出ちゃうよ」
たっくんが慌てて布団を掴む。
「ドドドドドドド、ガタガタガタガタ、ゴンゴンゴンゴン、ブチュブチュブチュブチュ、バキバキバキバキバキ……」
「あわわわあわあ」
「バキバキって、やばいやばい」
「ガンガンガンガン、ドンドンドンドンドンドンドンドン、ドン、、ドン、、、ドン」
やがて静かになり
「ピューーーーー、チン。宇宙に到着です」
と言って、私は一仕事をやり終えた。
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