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その大事な宝物を、最後は必ず大切な人のところへ届けにいく。
遠く遠くに届けにいく。
うーんと、うーーーんと遠いから。
寝ながらこの宇宙船で届けにいく。
本当に遠いんだ、お母さんのところまでは。
暖かく、このやさしい闇のなか、ずーとずーーとその先は、お母さんの所まで繋がっている。
……きっと。
遠くて。遠くて。泣きたくなるけど。
でも、大丈夫。
お父さんと一緒にいくから。
うん。大丈夫。
私は、そうやってお父さんの手を握って眠った。
手には豆があってゴツゴツしている。
そして大きくて、暖かい。
安心して眠りにつく、
そうすると夢の中で、お母さんが笑っている気がしていた。
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