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永遠に
「うっかり穴の中へ落ちてしまった……なんてことなったら、大変だからな」
フッと得意げに笑うと、慎重に穴から離れた。
そうして、徐々に小さくなって消えていく不可思議な穴を見つめながら、しみじみと呟くのだった。
「それにしても、気の毒なこった。おおかた、酔っぱらって足でも滑らせたんだろう。俺なら、そんなヘマはしないなぁ」
*
彼は これから先も、永遠に知ることはないだろう。
遡ること僅か数十分前。彼の頭上――遥か上空で、全く同じ台詞を吐きながらカメラのフラッシュを焚いていた人物がいたことを……
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