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その夜シンは体調が悪いと偽って、いつもよりも早く自室へと向かった。
「大丈夫?最近毎日、隣村まで行っていたものね。今日はゆっくり休みなさい。」
「良くならなかったら、明日は父さんが代わりに行こう。」
両親の温かい言葉を胸にシンは部屋の窓を開けた。
空はいつものように雲に覆われ、あたりは真っ暗で明かりは一つもない。
まるで空間に穴が開いたかのように、のっぺりとした闇に覆われている。
大陸から船が来ていることが本当なら出航は明日の朝に違いない。
絶好のチャンスだ。今回を逃せば、次いつ船が来るか分からない。
両親に黙って出て行くのは心苦しいけれど、僕は魔法の光を探しに行かなければならないのだ。
火種とナイフを確認するとシンは夜闇に飛び出した。
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