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「おい、シャルロッテと言ったな。我を呼び出し紫水晶の魔女シャルロッテ。汝の望みどおりここに契約を結ぶ。その名と血盟の証を我に差し出せ」
「って」
急展開すぎでしょ!とツッコミを入れる暇もない。続けてヘレパンツァーのとった行動にシャルロッテは目を剥いた。
彼は強引にシャルロッテに顔を寄せると、彼女の唇の端に舌を這わす。その瞬間、シャルロッテの体に熱を伴った電流が走った。
体中を駆け巡ったなにかがやがて彼女の中に溶けて落ちていく。
かすかではあるがシャルロッテの血の味をじっくりと堪能し、ヘレパンツァーはクローディアの中の存在に笑いかけた。
「契約も履行できない下賤者が。目障りだ、さっさと私の前から消えろ」
言ったそばからシャルロッテをクローディアの前に突き飛ばす。柔らかな金色の髪が揺れ、彼女は慌てて体勢を整え直した。
「契約者なら、もう少し丁寧に扱ってくれない?」
うしろを向いて文句を垂れるシャルロッテに対し、クローディアの表情は打って変わって緊迫めいたものになる。そんな彼女にシャルロッテは改めて優しく問いかけた。
「さて、その体から出て行く気になったかしら?」
「悪魔は往生際が悪いのさ。どうせこの娘との契約は成立されない。ならば」
ちらりとクローディアの目が動く。彼女の視線の先には先ほど自ら放り投げた剣があった。
「魂だけでもいただいていく」
白く細い指がしなやかに宙を舞い、呼ばれたかのように剣は浮き上がった。そしてクローディアをめがけて鋼の剣先が牙をむき、さすがにその場にどよめきが起こり、緊張が走る。
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