大魔女伝説の第一歩のため踏み台になってください

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「クローディアを追い詰めていたのは、彼女ではなく、他でもない母親でもあるあなた自身だったんじゃないですか?」  冷たく鋭い声と視線に、ペネロペはわずかにたじろいだ。だが、すぐに反論する。 「なにを言うんですか。私はクローディアの幸せのために」 「それと、シャルロッテ・シュヴァン公爵令嬢は三年前に亡くなったと記録が出されていますが、今日のあなたの発言と合わせると虚偽の申告だった。あなたのしたことは罰せられるものだ」  ペネロペの発言を遮り、団員に調べさせた報告を読み上げるとペネロペの顔は真っ青になった。 「あ、そこは蒸し返さず死亡扱いでかまわないんだけれど」 「お前、ちょっと空気を読んだらどうなんだ」  明るい声で口を挟んだシャルロッテにヘレパンツァーがツッコむもペネロペは反応しない。そのまま他の団員に促され、部屋を出ていく。  少なくともこの騒ぎでクローディアが王子の側室となる話も消え、ペネロペの築き上げてきた地位や立場も瓦解するのは明白だ。  そのとき不意にフィオンと目が合った。彼の口がゆるやかに動いたが、なぜか聞き取れない。耳鳴りがして急に世界が歪む。正確にはシャルロッテの足元が崩れ落ちそうになったのだ。  本人に自覚がないまま、どこかに意識が引っ張られる。床に倒れ込む寸前で力強い腕に受け止められた気がするのだが、それが誰なのかまでは把握できない。  ひとまず、大魔女に相応しい最高の使い魔を得られた。今回の収穫はそれくらいか。  ああ、私。やっと世界一の大魔女になれるはずだったのに――。  次の手立てを考えなくては、と思いつつシャルロッテの視界も思考も暗転した。
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