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シャルロッテの目がうっすらと開き、続いて漂う意識を集中させようと、すぐに目を閉じて深呼吸をする。懐かしい断片的な記憶。でもこれは自分のものじゃない。月永沙織の、前世のものだ。
そこでシャルロッテは自分の置かれた状況に違和感を抱く。いつも使っているベッドと感触が違う。
……ん?
先ほどよりも大きく目を見開きシャルロッテは硬直した。
「U!」
考えるよりも先に口が動き、すぐさま身を翻しベッドから飛びのく。すると上から矢のごとく鋭い光が降り注ぎ、真っ白なベッドにいくつもの穴が容赦なく開いた。
あっという間に凄惨な事故現場さながらになったが、狙われた本人にはまったく当たらず、何事もなかったかのように身を起こす。
「目覚めて早々、うるさい女だな」
不機嫌に人間の姿をしたヘレパンツァーが黒髪を掻き上げる。眉間の皺は起こされたからか、元々なのかは不明だ。
悪魔は人々を騙し魅了するため、見た目を人間の都合のいいように変化させる。
その幅はもちろん本人の力量が大きく影響しているが、ヘレパンツァーの誰もが息を呑むほどの魅惑的な外貌は、多くの者を虜にするものだった。
艶のある黒い髪に、透き通りそうなほどの白い肌。ややつり上がった目から覗く眼差しは鋭く、全体的に整った顔立ちをしている。
そんな彼が軽くシャツ一枚を羽織っただけで自分を抱きしめて眠っていたのだから、シャルロッテとしては動揺が隠せない。
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