聖女ではないと証明するため派手に呪ってみます

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聖女ではないと証明するため派手に呪ってみます

 王都はのどかな雰囲気に包まれていた。人々はほぼ顔見知りで互いに挨拶がてら声をかけ、近況などをにこやかに話す。しかし、あきらかに異質な存在が今は辺りをウロウロしていた。 「いたか!?」 「こちらにはいませんでした」  同じ格好をした男が険しい顔を付き合わせて確認し合う。 「相手は魔女だ。姿を変えているのかもしれない」 「そうなるともう我々には判断が……」 「弱音を吐くな。ラルフ王子がお戻りになる前に連れ戻せとの命令だ」  年上の強面の男が部下を叱責する。すぐさま若い兵士は姿勢を正し、彼に背を向け任務を全うすべく駆けだした。  その背中をじっと見つめる。部下にはああ言ったものの正直自信はない。だが、この団服は自分たちの誇りだ。命令である以上勝手に諦めるわけにもいかない。  ややあって男自身も歩を進めだす。  再び辺りは静まりかえり、その場から人の気配は消えた。それを確認し、そばにある一際大きな木造の建物の中で息を潜めていた者たちの緊張がわずかに緩む。 「ほら、お前の夢見ていた追っ手から逃れるシチュエーションだろ。もっと喜んだらどうだ?」  悪魔は紅い瞳を細め、妖艶な笑みで隣にいる魔女に声をかけた。シャルロッテは悪魔を思いっきり睨めつけたが、その幼さの残る外見ではまるで迫力がない。  長い蜂蜜色の髪と紫水晶を彷彿とさせる紫の目。彼女は膝を抱えて口を尖らせる。
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