聖女ではないと証明するため派手に呪ってみます

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 ところが、ほんの二週間から事態が急転していく。 「さっきいらっしゃったのは、ここら辺の土地を治めるレーンスヘル家の御子息ライマーさまだよ。結婚間近だった婚約者のヴァネッサさまとこの絵を見にいらっしゃったんだ。その日からヴァネッサさまが調子を崩されてライマーさまがあの絵を見たせいだって言いだして……」  先ほどライマーが口にしていた『ネス』という呼び名はヴァネッサの愛称だ。ふたりが親密なのは間違いないらしい。とはいえ。 「それ、なんてクレーマー? どう考えても絵は関係ないでしょ」  深刻に語るヨハンに対し、至極つまらなさそうな顔と声でシャルロッテはツッコむ。ヨハンは眉をつり上げた。 「俺だって、そう思いたいよ! けれど、その後にここを訪れた人が全然絵を見てくれなくなったんだ。前はみんな熱心に眺めていたのに。何度もあの絵を見るために来ていたダラスさんのところも急に興味がなくなったって……」 「みんな、権力者の言うことに流されすぎでしょ」  シャルロッテの痛烈な切り返しにヨハンは唇を噛みしめる。全否定するほど愚かでもない。 「この辺りでは誰もレーンヘルス家には逆らえない。それ以上にレーンヘルス家の信頼は絶大なんだ。ライマーさまが呪いだって言いだしたら、信じる人が増えるのもわかる。でも、こんな急にみんなの絵に対する態度が変わるものなのか!?」  手のひらを返したようとはよく言ったものだ。逆に綺麗にひっくり返りすぎて、不気味にさえ感じる。
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