聖女ではないと証明するため派手に呪ってみます

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「どちらさまでしょうか?」 「ライマー・レーンスヘルに用があるの。会えるかしら?」  相手の質問には答えず、シャルロッテは用件のみを伝える。若いメイドはわずかにたじろいだ。 「申し訳ありません。ライマーさまは体調を崩されておりまして……」 「なに? 例の彼女と別れて寝込んでいるの?」  すかさず切り込むと、メイドの顔が真っ青になった。触れてほしくない話題なのは明らかで、彼女は目線を落とす。 「な、なにも申し上げられません。旦那さまに口をつぐむよう言われておりますので、どうかお引き取りください」  シャルロッテの追及を拒否するかのようにドアが一方的に閉められた。近しい者には箝口令(かんこうれい)を敷いているのだろう。しかし婚約を解消した件については否定しなかった。  ふと視線を上に向けると、どこまでも青い空が広がっている。鳥のさえずりが聞こえ長閑(のどか)そのものだ。反して、この屋敷の中はどんよりとした暗く重い空気が漂っている。  ここは一度おとなしく引くべきだと判断し、シャルロッテは踵を返した。その際、ちらりと屋敷の二階を見る。  窓が大きい一番端の部屋だけカーテンが閉められており、よく目立つ。そこへ向け彼女は人差し指を緩やかに動かし宙でなにかを描いた。
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