4人が本棚に入れています
本棚に追加
「セイデルさん、あのさ…」
「なんですか?」
「ウッ…、やっぱり怒ってる?
本当にさっきはごめんね」
「別に気にしてないと言ってるでしょう
わざわざ謝らなくても…」
「ねぇねぇリィンカ君、どうしてこの街に引っ越して来たの?」
セイデルの言葉を遮るように、女子生徒がリィンカに群がり始める
「え、あ…えっと、」
「リィンカ君の家はさ…」 「リィンカ君はさ…」
「ちょ、ちょっと待って、一人ずつ質問して
聞き取れないよ」
「あいつ行った?」 「うん、いなくなったよ」
「今、なんて?」
「うぅん、何でもないよ
それより、リィンカ君はさ…」
「ちょっと、ごめん通して
また後で話そう、ね?
だからお願い、どいてくれないかな?」
「どうして?今話してくれないの?」
「ちょっと用事があるんだ、だから通して」
「あいつのところにいくの?どうして?」
「あいつって、セイデルさんのこと?
どうしてって、ちょっと話したいことがあるからだけど」
「そうじゃないよ、どうしてあいつに話しかけるの?
あんなやつ、放っておけばいいじゃない?」
「なんで?なんでそんなことを言うの?」
それを聞いた一人の女子生徒が、リィンカの前に出てきて意気揚々と話し始める
「だって、あいつ不愛想だし、家も大したことない奴だよ?
あんな奴と関わったらリィンカ君のイメージが…ヒッ?!」
リィンカの今までの優し気な雰囲気は一転し、全身から殺気にも似た怒りの感情があらわになった
あまりにも急激な変化にその場の空気が一気に凍り付く
「家がどうとか、僕のイメージなんか関係ない
僕は、僕が関わりたい人に関わるんだ
…邪魔するなよ」
「ご、ごめん…なさい」
「謝るならさっさとどけ」
静かだが、有無を言わせない圧力のあるその言葉に蜘蛛の子を散らしたように女子生徒達は四散していく
それらの存在など初めからなかったかの様子で、セイデルを探しにその場を去っていく
現場を見ていた他の生徒達も、一体何が起きたのか理解できないと言わんばかりに、開いた口が塞がっていなかった
最初のコメントを投稿しよう!