1.お弁当を食べましょう!

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1.お弁当を食べましょう!

 よく知らない人のために早起きして作ったお弁当を持って、そのよく知らない人に「お弁当、食べてください」って言わなきゃいけない。  こういうことをしていると、私って実は不幸体質なんじゃないのかな……とつくづく思う。  目の前のよく知らない――うちの中学の二年生の田中勇気さんは、戸惑ったような笑みを浮かべてからうなずく。 「はい。じゃあ」  田中先輩と中庭へ向かう間、私は先輩の横顔をちらりと見てつくづく思う。  彼がどちらかと言えば、地味な雰囲気の人で良かったなあ。  もし、田中先輩がイケメンだったら、こんなところを見た女子に絡まれて色々と面倒だっただろう。  本当にイケメンじゃなくて良かった。  でも、もちろんそんな失礼なこと、口には出せない。  田中先輩にも失礼だし、<彼女>にも失礼だ。
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