1.お弁当を食べましょう!

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 急いで購買へ行くと、私は焼きそばパンを買い、それから自動販売機でイチゴミルクを購入。  なんとなく物足りなく感じたけれど、今は憑かれていないのだからこれぐらいで足りるんだ。  私はそう自分に言い聞かせつつ、廊下の突き当りに移動。  ここは、紙パックの自動販売機が一台と企業のロゴの入った安っぽいベンチ、それからゴミ箱があるちょっとした休憩スペースだ。  ただ、ちょっとした休憩スペースだと言っても、日陰のせいで一日中、薄暗い。  もし、ここが外ならきのことか生えてきてもおかしくないくらいに。  教室からは少し離れているせいで、わざわざ歩いてここまで飲み物を買いにくる生徒はほぼ0だ。  つまり、ここは一人になるには最高の場所というわけである。  中学に入学して二カ月でそれを知り、今や私のテリトリーとなっていた。  静かな空間で、がさがさと袋からパンを取り出す音が響く。 「それにしても、入学してとり憑かれたのもう二回目か……」  私はそう呟いて、焼きそばパンを頬張る。  うまいな、焼きそばパン。  なんだか体に染み渡るなあ……。  朝はあの激マズ弁当をつくるのに手間取って朝食抜きなんだよね。  しかし、マズかった。  本当に本当にマズかった。  それにやっぱり体が軽いな。物理的に。 「もう、とり憑かれるのは嫌なんだけどなあ」  だけど、この私の体質で、さらにこの学校にいる限りは、幽霊にとり憑かれることを避けられない。  もし、とり憑かれたくないのなら、学校に来ないことしか道がないのだ。 「さすがに学校を休み続けるわけには行かないしなあ……」  かと言って転校ってのも現実的ではない。  しかも、転校先が幽霊が出ない確証もないし。 「学校って幽霊が集まりやすいのかなー」  私はそう言ってから、大きな大きなため息をついた。
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