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店舗拡大するには
「お客様のニーズに応える為にはテイクアウトだけじゃ限界があるしね!…でも、お父さん。店舗拡大って事はお店、リフォームするんでしょ?その間も営業するの?」
問題は、そこだ。
営業は不可能ではないだろうが、客の中には、音がうるさいと遠ざかる客もいるかもしれない。
「店舗拡大より前から、配送サービスの件をネットに載せる。電話でもネットからでも、注文出来るようにな。レイアウトは完成したら配信するけど、その前に雅に見せるから、何かあれば、又、意見を言ってくれ」
「うん!…でも、お父さん。配送先と注文の数によっては、車が居るんじゃない?」
雅に言われて、俺は考えやイメージを頭の中でまとめる。
確かに近所である事、注文の数が比較的少ない量なら歩きやバイクでも出来る。
店の近くの駐車場を契約して、車の運転ができる従業員も募集した方が良いかもな。
鈴木にグループ通話を頼んで、山村も混じえて、一足先に伝えてみるか。
そんな事を考えながら、話し合いを終えた俺は風呂に入りに行った。
数日後。
家事や店の合間に自室でレイアウトを完成させた俺は先ず雅に見てもらう。
「うーん、悪くはないけど…」
そう言って雅は、パソコンのキーボードをタッチした。
「こうした方が良いんじゃない?」
雅の修正したレイアウトを見て、俺は内心、なるほどと思う。
そこには『ネットからのご注文なら、ご予約出来ます。近場でもケーキ1つでも遠慮なくご応募ください♪』と。
従業員募集の欄には『車をお持ちの方、大歓迎!』とも書かれていた。
写真も何種類かのケーキを載せたし、先ずはこれを鈴木と山村に送ってみるか。
と、雅が部屋まで聞こえてきた洗濯機の終わる合図の音に俺の部屋を出て行く。
俺が送ってから、少しして、先ずは鈴木から電話がかかってくる。
「もしもし」
『もしもし、千夜くん。お久しぶりです。今度配送サービスも始めるんですか?』
「ああ。山村にも送ったから、グループ通話にしてくれ」
『解りました。少々お待ちください』
しばらく保留音が流れていたが、やがて、やかましい声に耳をつんざかれる。
『もしもしー!保ー!?』
しまった。
久しぶりに山村と通話したもんだから、携帯を耳から少し離すのを忘れてた。
「山村、今すぐパソコン開け」
『千夜くん、山村先輩も忙しい身ですから…』
『ありがとう、鈴木くん。ちょっと待って。茜に直ぐ戻る事を伝えなきゃ』
そう言うと山村の携帯からか、又しても保留音が流れる。
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